column.4 がんの治療 三大療法
外科療法
がんの病巣を切り取る治療が外科療法で、一般的に言われる手術療法です。血液を除くほとんどのがんに対して行われ、原則としてがんの主病巣と所属のリンパ節を取り去ります。がんの根治的療法として行われてきたもので、最近では、医療機器の発達に伴い、患者に負担の少ない内視鏡下の手術などが進歩しています。
一方で、外科療法を施すことでがん細胞が急速に増殖し、またがんが転移するリスクもあります。また、腫瘍部位を切除することによって生体機能が損なわれたり、術後障害など患者のQOL(生活の質)の面でマイナスになる可能性もあります。外科療法においては、手術そのものに耐えられる体力も必要となりますので、高齢者や長い治療生活で体力が低下している患者の場合、手術そのものを受けることが難しくなります。
放射線療法
がんの放射線療法は、x線やγ(ガンマ)線、また粒子線といった放射線をがんに照射し、がん細胞を死滅させる療法です。正常な細胞も放射線によって損傷を受けますが、これを出来るだけ少なくし、がん細胞だけに最大の効果を発揮できるように照射法を工夫して治療するのが放射線療法です。がんの主要な局所療法の一つですが、外科療法のように患部を切除しないため、体の機能や形態を温存させたい場合、例えば、舌癌、喉頭癌、乳癌、陰茎癌などの早期がんで行われます。また、悪性リンパ腫のように手術よりも放射線療法のほうが効果を得られるとされている場合、脳幹部の脳腫瘍のように手術の不可能な部位にある癌の場合に行われます。
化学療法
化学療法は、文字通り化学物質である抗がん剤を用いてがん細胞の分裂を抑え、がん細胞を死滅させる治療法です。外科療法と放射線療法は局所的な治療には非常に高い効果を発揮しますが、抗がん剤は、静脈に注射するか内服することにより、血液を通して全身に運ばれるため、全身的な治療に効果があります。外科療法や放射線療法の前後に、全身に転移している可能性のある場合等、その病巣を根絶して治癒力を向上させるために用いられます。また、最初から全身的に発病する白血病等のがんにも使用されます。