たばこはがんだけでなく、ほとんどすべての生活習慣病の危険因子です。その煙は自身の健康だけでなく、家族など周りの人々の健康も蝕む可能性があります。 「禁煙には何度も挑戦したけれど、失敗してしまい、むしろストレスになる」という方もいますが、その場合は本数を減らすことをまず考えることです。
タバコを吸われる方は、たばこ係数を計算してみましょう。たばこ係数は、
で表します。例えば1日に20本のたばこを20歳から35歳の現在まで15年吸っている場合は、
となり、たばこ係数は300となります。
このたばこ係数が400を超えるようになると健康に悪影響を及ぼすようになり、600に到達するとがんや心臓病などにかかる率が高くなると言われています。先の例で、たばこを一日に5本まで減らせば、たばこ係数は55歳までに400になります。どうしてもたばこをやめられない人は、一日の本数をできるだけ減らし、たばこ係数の増加を緩やかにするというのも1つの方法です。
お酒を月に1日~3日程度の時々飲む人に比べて、1日にアルコール量にして6杯以上飲む習慣がある方は、がんの発生率も死亡率も高くなることが明らかになっています。また、飲酒はがんだけでなく、高血圧、脳卒中、などの生活習慣病の原因でもあります。
飲むならば、男性は1日2杯以下、女性は1杯以下にひかえましょう。1杯はビール250ml、ワイン100ml、ウイスキーなどは25ml程度です。アルコールは乳ガンに悪影響を及ぼしますので女性の場合は特に量が少なくなっています。
また、週に1日は休肝日を設けましょう。ビールの代わりにお茶などの温かい飲み物がお勧めです。最近はノンアルコールビールも多数販売されていますので、これを取り入れることも工夫のひとつです。
米国では、1977年に通称「マクガバン報告」がまとめられたあと、食習慣と健康に関する研究が盛んに行われました。特にバージニア工科大学のキャンベル博士が、フィリピンで行った研究では、「人間の食習慣、ライフスタイル、および病気」について生物医学研究市場最大規模の調査が行われました。もともとキャンベル博士は、その時代米国ではあたり前であった動物性食品信奉者で、「肉や牛乳が人間を成育させ、健康を保つ最高の食品」と考えていました。しかし、研究の結果博士はこれを覆す結論、つまり動物性食品はがんの最大の要因であるとの結論を導きだしたのです。
キャンベル博士は、「がんは食事でコントロールできる」と明言していますが、具体的に一言でまとめると「植物性中心の、ホールフード(未精製・未加工の食べ物)で構成される食事」ということになります。
また、「米国No1ファミリードクター」と称されるジョエル・ファーマン医師は、その著書「スーパー免疫力」で、実際にがん治療に役立つ食生活と、避けるべき食品について具体的に提示しています。免疫力をつけるには、
・大盛りサラダを毎日食べる ・毎日少なくとも半カップの豆類を、スープかサラダ、その他の料理で食べる ・毎日少なくとも3個の生の果物を食べる ・毎日少なくとも28グラムの生のナッツ類か種子類を食べる
ことを勧めています。また避けるべきものは、
・バーベキューで焼いた肉、加工肉、市販の赤い肉 ・揚げ物 ・低脂肪でない乳製品(チーズ、アイスクリーム、バター、全乳)、トランス脂肪酸(マーガリン) ・清涼飲料水、砂糖、甘味料 ・精白小麦でできた製品
です。これは、アメリカ人の読者を対象に書かれたがんを治療するためのものですが、目指すところは、動物性食品を控え、動物性タンパク質を減らし、植物性タンパク質を増やすということです。
動物性食品の摂取量については、日本人もアメリカ人と同じようなレベルに達している現在、がんになりにくい体を作るための食習慣として、大いに参考になるものと思います。
肥満はがんに限らず、あらゆる生活習慣病、慢性病の危険因子です。20歳の頃に比べて10kg以上体重が増加している人は、糖尿病や心筋梗塞のリスクが上昇しますが、がんも同様です。
BMI(体格指数:体重(kg)を身長(m)で2回割り算した数値)が、21~25の範囲になるようにしましょう。また、内臓肥満にも気をつけましょう。簡単にはウエスト(腹囲)で男性が85cm未満、女性で90cm未満になるように気をつけます。BMIが25未満で皮下脂肪厚が正常であっても、ウエストが大きいと「隠れ肥満」になるので要注意です。
内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、運動による減量効果が大きく、持続的な有酸素運動が適しています。一日に200~300kcalを消費する有酸素運動をしましょう。散歩なら一時間から一時間半、ジョギングなら30分程度です。この消費カロリー量は一日に食事から摂取するカロリー量のわずか10%~20%にしか相当しませんが、筋肉量を維持して安静時代謝を高めます。このことはがんやメタボリックシンドロームの予防に非常に効果的です。
週末にまとめて運動をしたり、脂肪を消費しない無酸素運動はあまり効果がありません。毎日継続して行うようにしましょう。
がんにならないように、生活習慣病にならないように。がん治療に携わる医師がおすすめする、からだが喜ぶ、おいしいごはん。
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